※2026年7月時点の制度をもとに解説しています。
iDeCo全体の仕組み・節税額・NISAとの優先順位はこちらで解説しています。
結論
iDeCoの受取方法は3種類あります。
- 一時金としてまとめて受け取る
- 年金として分割して受け取る
- 一時金と年金を併用する
税金だけ見れば、退職所得控除の範囲内で一時金として受け取る方法が有力です。
ただし、会社の退職金や企業型DCがある人は、退職所得控除を共有する可能性があります。
年金受取は公的年金等控除を使えますが、国民年金や厚生年金と合算されます。
そのため、
- 退職金が少ない人:一時金が有力
- 公的年金が少ない人:年金も候補
- 退職金も年金も多い人:併用を検討
という考え方になります。
iDeCoを受け取れる年齢
iDeCoは原則60歳から受け取れます。
ただし、60歳時点で通算加入者等期間が10年未満の場合、受給開始年齢が遅くなります。
| 通算加入期間 | 受給開始年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 2年未満 | 65歳 |
受取開始は75歳まで先延ばしできます。
一時金で受け取る
一時金として受け取ると「退職所得」として扱われ、退職所得控除を利用できます。
退職所得控除
加入期間20年以下の場合
40万円 × 加入年数
加入期間20年超の場合
800万円+70万円×(加入年数-20年)
| 加入期間 | 退職所得控除 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
例えば、30年間加入してiDeCoを1,200万円受け取る場合、退職所得控除1,500万円の範囲内なので、課税退職所得は0円です。
控除を超えた場合も、原則として超過額の2分の1だけが課税対象になります。
退職所得 =(一時金-退職所得控除)×1/2
しかし、会社の退職金と退職所得控除は競合します。
会社の退職金とiDeCo一時金は、どちらも退職所得控除の対象です。
勤続期間とiDeCoの加入期間が重複している場合、同じ期間の控除を二重に使うことはできません。
受取時期によって、控除の調整対象になります。
いわゆる10年ルールや19年ルール。
意味不明ですね、つまりはこうです。
それぞれの一時金について、別々の期間を使って退職所得控除を計算する。
- 会社の退職金:その会社の勤続期間
- iDeCo一時金:iDeCoなどの掛金を拠出していた期間
- 両方を近い時期に受け取る:重複した期間だけ控除を調整
という仕組み。
・・・ちょっと複雑で分かりにくいので別記事にしました。
iDeCoと退職金は退職所得控除で競合する?勤続期間・加入期間・受取順を詳しく解説
一時金は、会社の退職金が少ない人や、退職所得控除が余っている人に向いています。
年金で受け取る
年金として受け取ると「公的年金等に係る雑所得」として扱われ、公的年金等控除を利用できます。
ただし、次の年金と合算されます。
- 国民年金
- 厚生年金
- 企業年金
- 国民年金基金
- iDeCo年金
公的年金以外の所得が1,000万円以下の場合、控除額の目安は次のとおりです。
| 年齢 | 公的年金等の最低控除額 |
|---|---|
| 65歳未満 | 60万円 |
| 65歳以上 | 110万円 |
例えば、65歳以上で厚生年金180万円、iDeCo年金60万円を受け取る場合、合計240万円で計算します。
240万円-110万円=130万円
130万円が公的年金等に係る雑所得です。
iDeCo年金だけが60万円だから非課税、とはなりません。
一時金と年金を併用する
一部を一時金、残りを年金として受け取る方法です。
例えばiDeCo資産が1,000万円ある場合、
- 600万円を一時金
- 400万円を年金
という受け取り方ができます。
退職所得控除と公的年金等控除の両方を使えるため、退職金や公的年金が多い人には有力です。
ただし、併用できるかどうかは金融機関によって異なります。
一時金が向いている人
- 会社の退職金がない、または少ない
- 退職所得控除が余っている
- 公的年金が多い
- まとまった資金が必要
- 受取後も自分で資産管理できる
年金が向いている人
- 会社の退職金が多い
- 公的年金が少ない
- 一括で受け取ると使いすぎる
- 毎年一定額を生活費にしたい
併用が向いている人
- 退職所得控除が一部だけ余る
- 公的年金等控除にも余裕がある
- iDeCo残高が大きい
受取前に確認する項目
- iDeCoの残高
- iDeCoの加入期間
- 会社の退職金額
- 勤続期間
- 企業型DCの有無
- 公的年金の見込額
- 退職金とiDeCoの受取予定年
- 金融機関の受取方法と手数料
これらを並べてから、一時金・年金・併用を決めます。
まとめ
- 退職所得控除は会社の退職金と競合する
- 公的年金等控除は国民年金・厚生年金と競合する
- iDeCoを先に受け取る場合は10年ルール
- 退職金を先に受け取る場合は19年ルール
退職金との競合や10年・19年ルールは別記事で解説しています。
会社の退職金が少なければ一時金。
公的年金が少なければ年金。
両方に余裕があるなら併用。
節税はいいんですけど、受け取りが糞めんどくさい制度です。

