※2026年7月時点の情報です
結論
iDeCoを一時金で受け取る場合、会社の退職金と退職所得控除が競合することがあります。
ただし、どちらか一方が優先されるわけではありません。
- 会社の退職金:勤続期間で計算
- iDeCo一時金:掛金を拠出した期間で計算
- 両方の期間が重複する場合:重複部分を調整
同じ期間について、退職所得控除を二重に使えない仕組みです。
退職所得控除の計算
退職所得控除は、勤続年数やiDeCoの拠出期間に応じて計算します。
20年以下
40万円×年数
20年超
800万円+70万円×(年数-20年)
| 年数 | 退職所得控除 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
会社の退職金は勤続期間、iDeCo一時金は掛金を拠出した期間を使います。
勤続期間とiDeCo期間が違う場合
例えば、
- 勤続30年
- iDeCo拠出20年
- iDeCoは就職10年後に開始
なら、それぞれ単独の控除額は次のとおりです。
| 対象 | 期間 | 単独での控除額 |
|---|---|---|
| 会社の退職金 | 30年 | 1,500万円 |
| iDeCo一時金 | 20年 | 800万円 |
iDeCoの20年間は会社勤務と重複しています。
一定期間内に両方を受け取る場合、30年+20年で50年分の控除を使えるわけではありません。
重複していない期間は残り、重複部分だけが調整されます。
同じ年に受け取る場合
会社の退職金とiDeCo一時金を同じ年に受け取る場合は、両方の期間をまとめて計算します。
基本的には最も長い期間を使い、重複していない期間があれば追加します。
先ほどの例では、iDeCoの20年間がすべて勤続30年に含まれているため、基本となる期間は30年です。
調整対象になる
「調整対象になる」とは、重複期間に対応する退職所得控除を、後から受け取る退職金やiDeCo一時金の計算から差し引くことです。
受取額自体が減るわけではありません。
同じ勤務・拠出期間について、退職所得控除を二重に満額使えなくなるという意味です。
iDeCoを先に受け取る場合の10年ルール
2026年1月以降、iDeCo一時金を先に受け取り、その後会社の退職金を受け取る場合は、前年以前9年以内のiDeCo一時金が調整対象になります。
一般には「10年ルール」と呼ばれます。
例えば、
- 2026年:iDeCo一時金
- 2035年:会社の退職金
なら調整対象です。
2036年に退職金を受け取れば、原則として2026年分は対象外になります。
会社の退職金を先に受け取る場合の19年ルール
会社の退職金を先に受け取り、その後iDeCo一時金を受け取る場合は、前年以前19年以内の退職金が調整対象になります。
例えば、60歳で退職金を受け取り、75歳でiDeCoを受け取っても15年しか空かないため、原則として調整対象です。
退職金を先に受け取る場合、完全に期間を空けるのは現実的に難しくなります。
競合しても全額に課税されるわけではない
退職所得控除を超えた場合も、原則として超過額の2分の1だけが課税対象です。
課税退職所得 =(一時金-退職所得控除)×1/2
例えば、一時金の合計が1,800万円、調整後の控除が1,500万円なら、
(1,800万円-1,500万円)×1/2 =150万円
150万円が課税退職所得です。
年金で受け取る場合
iDeCoを年金で受け取る場合は退職所得ではないため、会社の退職金とは競合しません。
その代わり、公的年金等控除の対象となり、国民年金や厚生年金と合算されます。
退職金が大きい人は、年金受取や一時金との併用も候補です。
まとめ
iDeCo一時金と会社の退職金は、退職所得控除で競合することがあります。
- 会社の退職金は勤続期間で計算
- iDeCoは掛金拠出期間で計算
- 重複期間だけ調整
- iDeCoを先に受け取る場合は10年ルール
- 退職金を先に受け取る場合は19年ルール
- 年金受取なら退職所得控除とは競合しない
考えるのがめんどくさくなります。

