※2026年7月時点の制度をもとに解説しています。
iDeCo全体の仕組み・節税額・NISAとの優先順位はこちらで解説しています。
結論
個人事業主やフリーランスは、加入条件を満たせば小規模企業共済とiDeCoを併用できます。
どちらの掛金も「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、支払った全額を所得から控除できます。
| 制度 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 7万円 | 84万円 |
| iDeCo | 6万8,000円 | 81万6,000円 |
| 合計 | 13万8,000円 | 165万6,000円 |
2026年12月以降は、自営業者等のiDeCo上限が月7万5,000円へ引き上げられる予定です。
その場合、小規模企業共済と合わせて月14万5,000円、年間174万円まで積み立てられます。
ただし、節税のために上限まで入れる必要はありません。
小規模企業共済もiDeCoも、すぐ自由に使えるお金ではないため、生活費・納税資金・事業資金を残したうえで利用します。
小規模企業共済とiDeCoの違い
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度です。
iDeCoは、自分で投資信託や定期預金などを選んで運用する私的年金制度です。
| 比較 | 小規模企業共済 | iDeCo |
|---|---|---|
| 主な目的 | 廃業・退職資金 | 老後資金 |
| 月額掛金 | 1,000円~7万円 | 5,000円~上限 |
| 掛金の所得控除 | 全額 | 全額 |
| 運用商品 | 自分では選ばない | 自分で選ぶ |
| 資金の引き出し | 廃業・退任など | 原則60歳以降 |
| 貸付制度 | あり | なし |
| 元本割れ | 任意解約時にあり | 運用商品による |
役割を分けるなら、
小規模企業共済:廃業・退職時の安定資金
iDeCo:投資による老後資産の形成
となります。
併用した場合の節税額
例えば、小規模企業共済に月3万円、iDeCoに月2万円を積み立てるとします。
| 制度 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 3万円 | 36万円 |
| iDeCo | 2万円 | 24万円 |
| 合計 | 5万円 | 60万円 |
年間60万円が所得控除になります。
実際に減る税金は、おおむね次の計算です。
年間掛金 × 所得税率と住民税率の合計
| 所得税率 | 住民税率 | 年間節税額 |
|---|---|---|
| 5% | 10% | 約9万円 |
| 10% | 10% | 約12万円 |
| 20% | 10% | 約18万円 |
| 23% | 10% | 約19万8,000円 |
所得税率20%なら、年間60万円の積立で約18万円の税負担を減らせます。激強です。
どちらを優先するか
もし私が個人事業主なら、小規模企業共済をやや優先します。
理由は、小規模企業共済には掛金をもとにした貸付制度があるためです。
iDeCoは原則60歳まで引き出せず、貸付制度もありません。
事業収入が不安定な個人事業主にとって、資金の融通が利くかどうかは重要です。
一方、長期運用で資産を増やしたいなら、iDeCoを併用する意味があります。
小規模企業共済の注意点
加入条件がある
開業届を出しただけで、必ず加入できるわけではありません。
主な対象は、一定規模以下の個人事業主、小規模企業の役員、共同経営者などです。
従業員数の上限は業種によって異なります。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 建設業・製造業・運輸業など | 20人以下 |
| 卸売業・小売業・サービス業など | 5人以下 |
事業所得として申告しているか、継続した事業実態があるかも確認されます。
任意解約では元本割れする
小規模企業共済は、任意解約の時期によって受取額が変わります。
| 掛金納付期間 | 任意解約時 |
|---|---|
| 12か月未満 | 解約手当金なし |
| 12か月以上20年未満 | 元本割れ |
| 20年以上 | 原則、掛金総額以上 |
廃業など所定の理由で受け取る場合と、自分の都合で解約する場合では扱いが違います。
iDeCoの注意点
iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
事業不振や病気で現金が必要になっても、基本的には使えません。
また、所得が少ない年や赤字の年は、所得控除による節税効果も小さくなります。
投資信託を選んだ場合は、運用状況によって元本割れする可能性もあります。
掛金は経費ではない
小規模企業共済とiDeCoの掛金は、事業の必要経費ではありません。
確定申告では、事業所得を計算した後に所得控除として差し引きます。
売上-必要経費=事業所得
その後、
事業所得-小規模企業共済等掛金控除-その他の所得控除
=課税所得
となります。
受取時には税金がかかる場合がある
掛金を支払った年は全額所得控除になりますが、将来の受取額が必ず非課税になるわけではありません。
一括で受け取る場合は、原則として退職所得。
年金形式で受け取る場合は、公的年金等に係る雑所得です。
小規模企業共済とiDeCoをどちらも一時金で受け取る場合は、退職所得控除が調整される可能性があります。
会社員時代の退職金や企業型DCがある場合も、まとめて受取方法を考える必要があります。
詳しくはこちらの記事へどうぞ。
まとめ
2026年7月時点では、両方合わせて年間最大165万6,000円を所得控除にできます。
ただし、上限まで使うことより、手元資金を残すことの方が重要です。
そのうえで、小規模企業共済とiDeCoを少額から併用するのが現実的です。

