「個人年金保険料控除が空いてるから、とりあえず個人年金を追加」って本当に必要?
と考えたので、まとめます。
そもそも老後にもらえるものは何があるのか?
- 公的年金:老齢基礎年金、老齢厚生年金
- 退職給付:退職一時金、会社独自の退職年金
- 企業年金:企業型DC、確定給付企業年金
- 個人の私的年金:iDeCo、国民年金基金
- 民間保険:個人年金保険、養老保険など満期金のあるもの
- 自分で作った資産:NISA、特定口座、預金など
自分で作った資産を除き、一般的な会社員の場合、老後の収入は「公的年金」、会社の「退職金・企業年金」、自分で積み立てた「iDeCo・個人年金」などがあります。
ほぼ全員共通であると思われる、公的年金(厚生年金込み)の月平均は150,289円です。中央値もほぼ変わりません。
厚生労働省:厚生年金保険・国民年金事業の概況10P
個別の例外はあれど、「月15万の公的年金」+「自分で積み立てた資産」があるなら、老後の日常生活だけで即困窮するケースはかなり限定的ではないでしょうか?
漠然とした不安で「老後のために」などと言って個人年金を選択するのは浅慮に思えます。
じゃあ何のために個人年金を選ぶのか
まず、個人年金は今のお金を老後に移す商品です。
そのおまけに保険料控除と、満期の上乗せがあると考えるべきです。
一般に民間の個人年金は「公的年金等以外の雑所得」です。掛け金を差し引いた利益部分が雑所得として課税されます。一時金として受け取る場合は一時所得です。
住友生命の「たのしみワンダフル」の例を出します。
| 契約年齢 | 月払保険料 | 払込保険料総額 | 一括受取率 | 基本年金額 | 年金受取総額 | 年金受取率 | 年率換算の実質利回り(IRR) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 1.5万円 | 720万円 | 約121.9% | 89.51万円 | 895.1万円 | 約124.3% | 約0.71〜0.73% |
| 30歳 | 1.5万円 | 540万円 | 約115.9% | 63.83万円 | 638.3万円 | 約118.2% | 約0.65〜0.68% |
| 40歳 | 1.5万円 | 360万円 | 約108.0% | 39.65万円 | 396.5万円 | 約110.1% | 約0.47〜0.49% |
受取額は払い込みに対して110%~125%のレンジでしょうか。
20〜40年間払い込み、さらに5年間据え置き、10年間かけて受け取り10%から25%の上乗せです。
そして上乗せ分は課税されます。
生命保険料控除で実際に得する税金は所得税・住民税を合わせても年間数千円〜1万数千円程度(控除額の上限は所得税4万円・住民税2.8万円)
このわずかな節税のために数百万円を数十年拘束されるのはいかがなものでしょうか?
さらに言えば、インフレ率も加味すべきです。
・個人年金の利回り:0.5%〜0.7%程度(表のIRR参照)
・現在のインフレ率:1.9%(2026年7月時点)
ということは?
「名目上の金額が増えても、実質的なお金の価値は目減りしている」ということです。
さて、若い時のお金を老後に移すことに、それほどメリットがあるでしょうか・・・?
「その個人年金そのものが必要だから契約する。そのうえで控除も使える」
という順番で考えるべきです。
目先の控除に惑わされないでください。
参考:受け取り率124%なのに年利は0.7%になるのはなぜか
表のIRR(年利ととらえてOK)は、支払う時期と受け取る時期まで含めて、その投資が実質的に年何%で増えたかを示す指標です。
単純な返戻率より、長期間の積立商品の比較に向いています。
- 積み立てのタイムラグ
毎月少しずつ払い込むため、資金が運用に回る平均期間は「積立期間の約半分」になる。 - 長期間の資金拘束と受け取り期間
20歳契約の場合、最初の15000円を払い込んでから最後の年金を受け取るまで最長55年(20歳〜75歳)の時間がかかる。 - 単純な年割りでは計算できない
返戻率の上乗せ分24.3%を40年で割って年0.6%とすることはできません。IRRは、毎月の払込時期と年金の受取時期をすべて考慮し、それらと等価になる年率を逆算します
誰が個人年金を選択すべきなのか?
極度なリスク回避を求める人たちです。
- 投資信託の元本割れが恐怖で眠れない
- 自動引き落としじゃないと自分で貯金できない
- 元本保証が欲しい
- 老後に年金としてお金をもらいたい
といった、安直なリスク回避を行う人たちは消去法的な選択肢に入るのではないでしょうか?
インフレ率という大きなリスクは目を瞑っているみたいですが。
老後のお金は若いうちから考えておくべきという話

個人年金と直接関係ありませんが、こんなニュースを見ました。
私は、繰り下げしたこと自体は失敗だったとは思いません。
が、老後資金は多ければ多いほど正義ではない。
年金を繰り下げて資産を減らさず
元気なうちは働いて
将来増えた年金で旅行しようとして
健康を崩して「先にもらえばよかった」
となるなら、問題は繰り下げそのものじゃなくて使う時期まで含めた人生設計ができてないことが一番の問題。
個人年金も同じで、目的が明確であるなら選択肢に入るでしょうが、今となってはNISAやiDeCoもあるので優先順位は相当下がります。
将来の安心のために、今の自由や幸福を削るのはどうなのかなと思った次第です。
30年間でお金が1.2倍にしかならない個人年金に毎月1.5万円拘束されるくらいなら、日常の支払いを還元率2%以上のチャージルートに集約した方が普通に得です。
ということでチャージルート構築にいそしみましょう。
→チャージルート考察
